「その時代を生きた人たちの考え方が詰まったきもの」
―― 舟幡さんがきものに興味を持ち始めた時期やきっかけについて教えてください。
舟幡 中学生の頃に社会科の授業で日本文化を知ったことが、きものに興味を持つきっかけでした。当時着ていたきものが時代背景や生活様式に深く関係していて、これは面白いなと思いました。
―― 全然違う生活を営んでいた時代の人たちの意図がきものには隠されていますよね。何もかもが変わっているのであまり馴染みがないです (笑)。
舟幡 そうですね。その時代のきものによって身分を表すようなものがあったり、祭儀で使用されるものがあったり、快適に生活するための工夫が凝らされているものがあったり。当時の人たちの考え方が見えるのはとても興味深いです。平安時代の十二単は有名ですよね。
―― 教科書に出てくる衣服の中でもかなりインパクトがあります。きものの学校に進学しようと思ったのも中学生の頃でしたか?
作品展示に向けて着付け
舟幡 いえ、高校生の頃です。大学に行って学びたいことも思い浮かばないし、何か技術を身につけられる学校はないかなと探していたときに見つけたのが織田だったんです。和裁ははじめてでしたが、手先を動かしてじっくり作業するのは好きでしたし、オープンキャンパスに参加して自分に合っていると思い進学を決めました。
「一人ひとりの個性が出る作品づくり。難しくて奥深くて完璧はまだない」
展示用のきものを製作中
―― そして今現在、和裁を実際に学んでたくさんの作品を作っていますね。舟幡さんの好きな授業は何でしょうか?
舟幡 染色の授業が好きです。きものや和小物に模様を入れていくのですが、一人ひとりの個性がよく出ます。自分の作品が仕上がっていくのも楽しいですし、クラスメイトの作品を見るのも楽しいです。上手くいったと思える部分があると自信にもなるので、やりがいが大きいです。
―― きものって形は共通していますが、染め方によって全然違うものに仕上がるので興味深いですよね。ちなみに、舟幡さんはどんなこだわりを持って作品づくりをしていますか?
舟幡 意識しているわけではないですけど、気が付いたら花をモチーフにした作品を手掛けることが多いです。何も考えずに、作業を始めたら気が付くと花をあしらった模様になっているみたいな。そういえば、今作っている作品も花ですね(笑)。
―― 花シリーズが続いているわけですね(笑)。染色って染め方も様々ですし、とても難しいイメージがあります。
自分で製作したきものを着てショーへ
舟幡 ろうけつ染っていう、色が入らない部分をろうで覆って、その隙間に色を入れていく技法があるのですが、花だと茎の部分がすごく細いので特に難しかったなと思います。
―― 初めてろうけつ染を知った方は、版画の逆をイメージしてもらうとわかりやすそうです。かなりの大仕事だったのかなと思いました。
舟幡 そうはいっても、全部が完璧にできたって作品はまだなくて。ここはもっとこうすればよかったとか、そういう反省は無くならないです(笑)。
「きものの魅力に気づいてほしい。そのためにできることって何だろう」
―― 満足しない性分だからこそ、モノづくりが合っているのかもしれませんね。舟幡さんのこれからの目標は何でしょうか?
友人ときものでお出掛け
舟幡 目先の就職などはありますが、将来的には若い世代にきものを広げるために自分ができることをしていきたいなと思います。きものって堅苦しい印象を持たれがちですが、もっと可愛く着る方法もたくさんありますし、もっと日常的に着られてもいいのにと感じることは多いです。
―― 夏祭りで着る浴衣だったり、観光に訪れた際にレンタルショップで着せてもらったり、四季折々の行事ごとだったり、着る機会は限られてますからね。
自作のきもので参拝
舟幡 街中できもの姿の方を見かけたときは、もっとこうすれば可愛くなりそうだなとか、想像してしまうことがあります(笑)。きっとそれも、きものの魅力に気づいてもらうことができれば、一人ひとり個性的な着方が見られるようになると思いますし、輪が広がっていくのではないかなと思いますね。
先輩が学んだ学科
1・2年次[2年制]
きもの科
織田きものを
オープンキャンパスで
体験しよう!
和小物作りや
着付に挑戦します!