KIMONO anne. 2021年コラボ 学生インタビュー

きものファッション誌『KIMONO anne.』と学生によるコラボ授業!

毎年恒例となっているきものファッション誌『KIMONO anne.』とのコラボ授業。現在発売されている『KIMONOanne. vol.3』に、本校学生がコーディネート提案で誌面制作に参加。裏側に迫るため学生達を取材した。

左から、東さん、今井さん、木口さん、山本さん

2021年10月15日(金)に行われたインタビューです。

―― 皆さんから見て、『KIMONO anne.』はどんなファッション雑誌でしょうか?

山本 若い世代が手に取りやすいきものファッション雑誌です。中面はもちろんですが、表紙の段階から他の着物関連の書籍とは方向性が違います。まだ着物をよく知らない人にとってもはじめて触れるきっかけになると思います。

今井 着物の新しい着方を提案してくれます。昔っぽい柄の着物でも現代風にアレンジをして、気軽に可愛く着られるコーディネートが紹介されています。

着物の最先端を行っている雑誌です。モデルには今人気の女優の方やSNSで人気のあるインフルエンサーの方も多く起用されています。

木口 着物というと、きちんと着なければいけない堅苦しいものってイメージを持たれがちだと思いますが、それを良い意味で覆して魅せてくれます。伝統的な部分もあれば革新的な部分もあって、幅広い世代が楽しめる雑誌です。

―― 今回皆さんが提案したコーデについて教えてください。

山本 テーマは「瑠璃のしずく」です。大好きなアーティスト、女王蜂のアヴちゃん1を思い浮かべながらコーディネートを考えました。アヴちゃんのイメージカラーの青を、彼女の誕生石であるラピスラズリにたとえて差し色として散りばめました。また、「月の雫」と言われるパールもアイテムとしてだけでなくテーマにも取り入れています。

1 女王蜂のアヴちゃん…薔薇園アヴ。日本のアーティスト。ロックバンド「女王蜂」のメンバー。

山本さんの「瑠璃のしずく」の企画案

今井 私は「Flos Regina」をテーマにしました。日本語にすると「花の女王」という意味になります。着物とドレスを合わせたコーディネートに挑戦したいというところから、テーマを考え始めました。いろいろなドレスを探しましたが、なかでも格式の高さが印象的な中世のドレスは着物にぴったり合うと感じました。気品と強さを兼ね備えた女性をイメージしてコーディネートに落とし込んでいます。

今井さんの「Flos Regina」の企画案

「額の中」をテーマに考えました。選んだ着物の柄には黄色い花が描かれているのですが、ひとつひとつ黒い縁で囲われています。まるで額のなかにある標本の様だなと感じて、テーマを少しずつかためていきました。自分の好きな青い蝶も登場させて、額の中に閉じ込められた生命の神秘を表しています。

東さんの「額の中」の企画案

木口 私のテーマは「朧気にしがみつく記憶」です。今回使用している着物をひと目見たとき、雨雫のような印象を受けました。コーディネートを考え始めた時期が6月だったこともあって、連想ゲームのように紫陽花やジューンブライドなど要素を繋げながらテーマを決めていきました。儚く、美しく、目を離したら消えてしまいそうな透明感がありながらも、記憶に残り続けて忘れられない女性を表現しています。

木口さんの「朧気にしがみつく記憶」の企画案

―― 今回のコーデを組むにあたって工夫した点やポイントを教えてください。

山本 柄や色に統一感を持たせて、シンプルで着物らしい美しさの際立ったコーディネートを目指しました。特に青色は今回の主役なので、襟や帯、イヤリングや靴などいろいろな箇所で使っていますが、なるべく似たような色味のアイテムを探して取り入れることで印象付けています。首元と帯留めのゴールドも上品で青よりも目立たない色味を選びました。裾や襟、袖口から除くシルクのフリルは素材や形にこだわって、ひとつひとつ手作りしています。

今井 スカートやフリルでもとの着物の柄を活かしつつも、ただのドレス風の着物として見られないように工夫を凝らしています。テーマになっている「花の女王」の高貴さが伝わるようにしたかったので、光沢感のあるベルベット生地の赤い帯を採用して、靴も高級感のあるワインレッドのものを選びました。首元にブローチやカラフルな花々をあしらった自作の杖も取り入れています。可憐で力強い姿を表現できるように意識しました。

きものをドレープ状にしてスカートを見せています。着物とスカートをどう組み合わせようか考えていたところ、着物インフルエンサーのみさまるさん2がドレープ状にして組み合わせている投稿が目に入って、参考にさせていただきつつアレンジも加えて今のコーディネートになりました。小物使いも試行錯誤しました。帯飾りの青い蝶や花飾りなど、どこに何を配置すれば「額の中」にある標本のイメージに近くなるかをいろいろ試してみました。

2 みさまるさん…SNSで人気の着物クリエイター。

木口 コーディネートを考えるとき、先にその背景にある物語を作ったことでイメージをより具体的に形にできたと思います。「花嫁さん」という設定がありましたので、オーガンジーのベールを取り入れたり、付け袖や裾から見えるレースを市販のスカートに縫い付けたりして、形作っていきました。手作りの色褪せた紫陽花の髪飾りを添えたのは、紫陽花が枯れるときに花弁を散らさずに色褪せていく様を「しがみつく」と表現することからです。テーマとも繋がっていて、不思議で儚い雰囲気の世界観を演出しています。

―― 「KIMONO anne.」とのコラボ授業を終えての皆さんの感想を教えてください。

山本 クラスのみんなの発表を聞いているときも、自分には思いつかないコーディネートばかりでとても勉強になりました。自分のコーディネートの掲載が決まったことには嬉しさもありましたが、本当に思い通りに表現しきれるのか不安もありました。それでも、クラスのみんなに支えられて、みんなのおかげで自分が当初想像していたより何倍も良い表現ができたと思います。

今井 私は着物を作る仕事ではなく、コーディネートをする仕事に就きたいと思い、これから就職活動に臨むつもりです。それもあって今回「KIMONO anne.」に自分の考えたコーディネートが掲載されたことがとても嬉しいですし、良い経験になったと思います。クラスメイトに企画のプレゼンを褒めてもらえたことも嬉しかったです。このコラボ授業を全力で楽しむことができました。

「KIMONO anne.」とのコラボ授業はこの学校に入る前から興味を持ってました。そして、今こうして実際の誌面に自分のコーディネートが掲載されることがとても嬉しいです。感染症が蔓延するご時世ですので、行事が無くなってしまうこともありましたし、自分が想像していた学校生活とはいかない部分もありました。でも、この授業で在学中にひとつ実績を残すことができたと思います。良い思い出になりました。

木口 雑誌制作の裏側を知る機会も制作に携われる機会もなかなかありませんので、関われたこと自体がとても貴重です。そして、限られた時間の中で制作する難しさを実感しました。見開き1ページを作るだけでも大変だったのに、何ページにも渡って、企画を考えて、コーディネートを考えて、1冊の本を仕上げるのは途方もないです。あらためて、編集部の方々に尊敬の念を抱きました。嬉しさと楽しさ、やりがいを感じられた忘れられない経験です。私の考えた世界観が読者の方々に伝わったらいいなと思います。

―― 皆さん、インタビューお疲れ様でした!

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